関西と関東では食に対する考え方が違います

関西の大阪は「日本の台所」と呼ばれるほど、味にうるさい街として知られています。お金に細かいケチな性格も相まって、常に「安くて美味しいもの」を求めます。関西人に言わせれば、「高くて美味しいのは当たり前」で、お金を払えば美味しいものは食べられるという考えを持っています。

逆に関東の人はどうでしょうか。関東といっても本当の関東人って一握りですよね。たいていはどこか関東以外から上京してきている人がほとんどでしょうから、ひとくくりにどういう味が好きだとか、統計を取るのは難しいかもしれませんよね。

関西と関東の食に対する違いで面白いのは、「お肉」です。関西では「お肉=牛」という考え方があり、関東では「お肉=豚」です。日本の定番食といえば「肉じゃが」でしょう。関西では「お肉=牛」なので、肉じゃがにつかうお肉はもちろん牛肉ということになります。関東では「お肉=豚」なので、豚肉を使います。これと同じようなものが「肉まん」ですね。関東ではもちろん肉まんには豚肉です。しかし、関西では「豚肉を使ったまんじゅう」なので「豚まん」になります。

冬になると誰もが食べたくなるおでん。おでんの具も関西と関東では違います。定番どころの具はほぼ同じですが、関西では「牛すじ」なるものが入ります。牛のスジを串に刺したものがおでんのど真ん中に鎮座しているんですね。関東のおでんの中に牛すじは入ってないですね。逆に関東のおでんにしか入っていない具、それは「はんぺん」と「ちくわぶ」です。ちくわぶに関しては、関西では知らない人が多いようで、実際私も関東に来て「ちくわぶって何だ?ちくわの何かか?」と思ったくらいです。はんぺんもびっくりしましたね。コンビニのおでんに白くてでっかいものが浮かんでいたのを見たときは、衝撃を受けました。

そして食パンです。関西では4枚切りが主流なのに対して、関東では6枚切りが主流ですね。4枚切りだとけっこう分厚くて、外はカリっと中はモチっと食べるのが美味しいのですが、関東には4枚切りが売っていなくて寂しい思いをした覚えがあります。言えば4枚に切ってくれるのでしょうが、悲しいかな、だんだん6枚切りに慣れてしまいましたね。

次はおにぎり。関東ではコンビニなどで売っているおにぎりは、当たり前のように三角形ですよね。実は関西ではたわら型が主流で、呼び方もおにぎりではなく「おむすび」です。これも江戸時代の名残ですが、関西では商人が持ち歩くお弁当に入れるため「たわら型」が都合よかったようですね。ふっくらと握れてお弁当箱に入れやすい形が、たわら型だったようです。逆に関東では、武士が竹の皮に包んで持ち歩くために、三角のおにぎりができたと言われています。三角なので強くにぎることができ、崩れにくいのが理由ですね。

お雑煮は全国各地でいろいろなものがありますが、関西と関東でももちろん違います。関西では丸餅をつかいます。焼かないでそのままの丸餅を白味噌ベースの汁に入れて食べます。丸餅は商人が縁起を担ぐためにひとつひとつ手で丸めて作られたと言われています。関東は、四角い餅をつかいます。醤油ベースの汁に四角い餅を焼いて入れるのが主流です。江戸時代、江戸にはたくさんの人が集まっていたので、ひとつひとつ手で丸めるのは効率が悪いということで、四角い形になったと言われています。大きく伸ばして、一気に切れば手間が省けたということですね。

関西と関東で、こんなにも食に対して違うのは不思議ですよね。昔の名残というのがほとんどですが、理由をひも解くと面白いものです。