値切るのが当たり前の関西人、値切ることは恥ずかしい関東人

関西人がお店でものを値切るのは確かに当たり前な風景ですね。これは、関西の商売人の気質が残っているためだと言われています。江戸時代、関西では商売を行う商人が数多くいました。商売をすることがもっとも栄えることだと思われていた時代ですね。そのため、多くの商人が少しでも売り上げるために、安く仕入れて高く売る、ということを学んだようです。客も同じく、高く売られているものをちょっとでも安く買いたいために、値切るという行為が根付いたわけです。江戸時代の関西では、卸問屋と商人の間で、商人と客との間で日々当たり前のように行われていたのが、関西の「値切り」の発端です。

江戸時代は少しでも売り上げるため、少しでも家計を助けるため、に行われていた「値切り」の行為ですが、現代ではちょっと趣旨が違ってきています。多少なりとも節約のためという理由はあるでしょうが、現代ではほぼコミュニケーションの一環となっていることが多いようです。店主と客との挨拶代わりといったところでしょうか。客も本当に値切ってもらいたいのではなく、店主との駆け引きを楽しむ感覚ですね。

この「値切り」ですが、現代ではだんだん少なくなってきているようです。デパートやショッピングセンターなど、値切れなくなっているところが多くなっているのと、最近の若者はあまり値切るという行為をしなくなってきたようですね。スーパーなど、バーコードの値札がついているようなところでも難しいでしょうね。バイトやパートの人に値切る権限などないわけで、言われたほうも困っちゃいますよね。今でも続いているのは、商店街や個人商店などでおばちゃんたちが値切るくらいでしょうか。

関東では、この「値切り」という行為は広まっていないようです。むしろ、提示された金額をそのままの値段で買うことを美徳とし、値切り交渉にあてる時間をムダと捉え、スマートに買い物するのが品格ある人物とされてきた文化です。「値切り」行為は、恥ずかしい、格好悪い、みっともないとさえ思われています。これは、少々のプライドがあるのかもしれませんが、売り手側のことを考えてくれている思いやりでもあるのです。自分の損得だけを考えず、相手を思いやるという行為は素晴らしいことですよね。

そしてもうひとつ、関東の人のシャイな性格も関係しているようですね。お店の人とはほぼ初対面なわけですよね。初対面の人にいきなり「安くしてください」なんて言える人は少ないでしょう。何度も足を運んで常連さんとして認めてもらえれば、言える場合もあるでしょう。関東で常連さんとは、ひとつのステータスでもあるわけです。

関西人が関東で「値切り」行為をすると嫌な顔をされるのはこのためですね。渋々まけてくれたとしても、何だか気まずい雰囲気になってしまうことがあるので、関東ではあまり値切ることはしなくなりました。郷に入れば郷に従えという言葉あるように、関東では浸透していない値切り行為はあまりしないほうがいいかもしれません。提示されている金額をそのまま納得してスマートに買い物するほうがいいでしょうね。逆に関西ではゲーム感覚で値切ってみるのが楽しいと思います。恥ずかしくもなんともないわけで、店員さんだって値切られるのを待っているので、どんどん言ってみましょう。値切ってもらったり、おまけをつけてもらうと、何だか楽しい気分になりますよ。ぜひ関西に行ったら「値切り」行為、やってみてください。