関西人は褒められるのが下手、関東人は褒められ上手

人間誰しも褒められると嬉しいですよね。褒められて怒る人なんているはずないですよね。しかし、なぜだか関西人だけは褒められるのが苦手です。面と向かって褒められようものなら、全力で否定します。そして、自分を落とします。褒められるような人間ではない、と。素直に「ありがとう」と言えばそれで済むだけのことなのに、なぜか言えません。逆にけなされるのは大好きです。もちろん限度があり、そこは難しいところではありますが。この背景には関西人の冗談好きがあると思われます。何事にも笑いをとるのが重要で、話の最後にはオチが必要です。そんな会話を常日頃からしている関西人にとって、冗談抜きで褒められると、どうしていいかわからないのです。いつも自分を落として笑いをとっているのに、いきなり「可愛いね」などと言われると、「これは冗談なんやろか?」「オチはどないしたらええんやろ?」と、戸惑ってしまうわけですね。

これは、笑いの文化が原因になっているといえるでしょう。関西では自分や身内の恥ずかしい出来事をすべてネタにして笑い話にしてしまいます。特にどんくさいネタや失敗ネタは、いい笑い話の材料になります。ただし、自分が身内の恥をネタにするのはいいのですが、他人から言われるとちょっと不機嫌になってしまうところは厄介ですけどね。

関東では自分や身内の恥はまず他人に話したりしませんよね。むしろ隠そうとする人のほうが多いでしょう。そして関東の人たちはお互いに相手のいいところを素直に口にします。関東の人は褒められ上手なんでしょうね。褒められると素直に受け止め、きちんとお礼を言います。「お世辞かな?」と思いつつも嬉しいようですね。相手の欠点を指摘して笑いをとるのではなく、いいところをきちんと口にだすのは、見ていて気持ちがいいものですよね。もちろん中には心とは裏腹なことを言っている人も大勢いるでしょうが、それを見抜けないくらい笑顔で褒めてくれますよね。

ただし、関西人の私からしてみれば、関東の人は気持ちのいいくらい相手を褒めあうので、慣れてくるといささか麻痺してしまうのが困りものです。どこまでが本音なんだろう、とつい考えてしまうのは、関西人だからなのかもしれませんね。とは言っても、褒めてくれる人に対して関西特有の本音でぶつかることは、まずしません。褒めてもらうと嬉しいので、こちらも褒めちぎります。お世辞なのか本気なのかどうかはわかりませんが、お互い褒めあっているような人同士は関係が続くような気がします。

関東での人間関係に慣れていないとき、関東の人に思っていることをぶちまけたことがあります。みんな苦笑いしていましたが、今思えばきっと不愉快な思いをしていたんでしょうね。あるとき「もう少しオブラートに包んで話したほうがいいよ」と、注意されてはじめて気づきましたね。「関東では相手をけなしてはいけないんだ」と。「とにかくいいところを見つけて褒めないといけないんだ」と。

慣れてきたとは言え、やはり関西人なので、まだ褒められるのは苦手です。面と向かって褒められると、気恥ずかしいんでしょうね。どうしても素直になれません。悲しいかな、ものすごい勢いで全否定してしまいます。こればっかりはいつまでたっても慣れません。内心は嬉しいんですよ。嬉しいんだけど、関東の人のようにさらっと笑顔で「ありがとう」が言えません。

関東の人が褒められたときに、ニコッと笑って「ありがとう」というのはスマートで素敵です。見ていて本当に素敵です。関西人にはなかなか真似できないことですが、見習わないといけないな、と思う今日この頃です。