関西人が薄味なのには理由があるって知ってましたか

関西人が薄味なのは有名ですよね。おかずでもなんでも比較的味は薄めです。逆に関東は味が濃いというより、何もかも茶色くてびっくりした記憶があります。

関西の中でも大阪は「日本の台所」と、言われるほど食にはうるさいところとして有名ですよね。大阪でこれといった名産はないのですが、「腕のいい板前が集まるところ」としても知られています。「大阪には美味しいモノが集まってくる」「調理する板前の腕がいいから美味しい」と言われるぐらいです。食の文化がある関西で、なぜ薄味が主流となったのでしょうか。

商人の街であるところが関係しています。江戸時代、関西の商人の家には丁稚奉公が住み込みで働いていていたのが当たり前の風景でした。一般の家は貧しいので、丁稚奉公として働きにだせば、食いぶちが減るので家計が楽になりますよね。さらに丁稚奉公として商家に入ることで、商人としての商いを学ぶことができます。この時代、丁稚奉公の数はかなりのものだったようです。そして、各商家に入る丁稚奉公は1人や2人ではありません。大きい商家だと、10人近くの丁稚奉公を抱えていたところも珍しくなかったようです。丁稚奉公といっても通いではなく、商家に住み込みで働いていたので、もちろん3食付きということになります。ただし、商人としてのノウハウを教えてもらうということで、お給金はなかったようです。寝床と食事のみで働かされていたんですね。

特に商人はお金にシビアです。ケチ度も半端なかったことでしょう。「商人の家では、おかずの味付けを濃くすると、丁稚奉公が次々にご飯をおかわりするので、味付けを薄くしてご飯の消費を少なくした」という説があります。これが関西の薄味のルーツです。ケチな大阪の商人が考え出した知恵が、今もなお関西圏に残っているということですね。確かに味が濃いと白いご飯が進みますよね。それを阻止するために味付けを薄くしたということです。

これに比べ、関東では味が濃いですよね。これも歴史と関係があります。関東近郊では、農村地帯が多く、ほとんどの人が農業の肉体労働を強いられていました。また、武士も下級な人が多く、建設など携わる仕事をしている人が多かったようです。どちらも肉体労働なので体力を消耗するし、汗をかくので多くの塩分を必要としたわけです。これが味付けの濃いルーツとなっているようですね。

関西のうどんやそばのダシは透明、関東は真っ黒といのはもう有名ですよね。ダシだけではなく、煮物も何もかもとにかく茶色いイメージがありますね。関西では、昆布ダシやシイタケのダシをメインに使い、薄口醤油で味付けする、関東では、鰹ダシがメインで濃口醤油をつかって味付けすることが主流だったから、というのが理由のようです。

余談ではありますが、この味付け、あくまでも見た目だって知っていましたか?関西は食材の色を上手に活かして味付けをしているというだけで、実際の塩分濃度はむしろ関西のほうが高かったりするんですよね。薄口醤油というのは「塩分が低い」のではなく、「色が薄い」だけです。実は濃口醤油のほうが塩分は低いんですよね。みんな見た目で「味が濃い」だの「味が薄い」だの言っているってことになりますね。

関西人は「味が薄い」のではなく、「見た目を大事にする」といったところでしょうか。繊細で芸術的な料理が多いのは確かですが、塩分濃度に気を付けないといけないですね。関東の人は、見た目ではなく実際の塩分濃度を気にして、体に気を使っているというところでしょうか。どちらがいいと言うわけではなく、昔の名残がそのまま継がれているといったところでしょうか。