沈黙が嫌いな関西人、静かな空間を求める関東人

関西人はおしゃべりなイメージがありますよね。声も大きいし、自分アピールもすごいです。黙っているときなんてあるの?と思うくらいいつもしゃべっている気がしませんか。そして笑っちゃうくらい身振り手振りが大きく、ジェスチャーもおおげさですよね。

そんな関西人、沈黙が苦手です。「沈黙=気まずい空間」と、捉える人が多く、ちょっとでも沈黙があると誰かがしゃべりだします。シーンとなるあの空気が関西人は大嫌いです。サービス精神旺盛な関西人にとっては、めいっぱいサービスしてくれているのかもしれませんけどね。知らない人からしたらうるさくていい迷惑になっていることに気づいていないのが関西人です。

これは、関西の商売人の性質が影響していると思われます。江戸時代の関西は商売をすることが繁栄を意味するものでした。商売をするためには、お客さんに話しかけないといけなかったんですね。無口な商人なんてあり得なかったわけですよ。お客さんが店にいるのに、沈黙って気まずいですよね。そのため商人はとにかくお客さんに話しかけます。「安いですよ」「これは物が良いですよ」など。そして、外では「いらっしゃい、いらっしゃい!」と呼びこみをするので、声も大きくなります。声が小さいとお客さんを獲得できないので、みんな声を張り上げてアピールしていたんですね。その名残が関西人に引き継がれている、というわけです。

客商売なので、相手の心をつかむのも得意です。お客さんの目線や表情から、何を考えているのか、何を勧めたらいいのか、一瞬にして判断します。これが今の「お笑いの街大阪」のもととなっているのでしょう。相手を笑わせるのが得意な関西人は、相手の様子を常に伺っています。この鋭い感性は元をたどれば、商売人だったということですね。

逆に関東の人は沈黙があったからといって気まずいとは思いません。むしろお互い話すことがないときは静かにするというのがマナーだと捉えています。「話すこともないのに、無理に話しする必要はない」と、考える人が多いようですね。電車の中でよっぽどのことがない限りしゃべりません。これは、「人様に迷惑をかけない」という、下町の性格からきているのかもしれませんね。

無口な性質は、関東の武家の人たちがルーツだといわれています。身分が高い武家屋敷は、関東の高台に位置しており、下町に住んでいる貧しい人たちを見下ろしていたといわれています。下町の町民たちは、喧嘩っ早くべらんめぇ口調でまくしたてるのに比べ、高貴な身分の人は静かに過ごすことが品だと思っていたようです。おっとりとした口調で余計なことはしゃべらない、静かな空間に蓄音機で音楽を流すのがお金持ちの過ごし方だったようです。「金持ち喧嘩せず」というのはこんなところからきているのかもしれませんね。

今でも一般的にお金持ちのマダムなんかは、おっとりしていて無口な人のほうが品があるように見えますよね。ベラベラとしゃべるような人は品があるように見えないのが不思議なところです。

関東の人が無口で静かなのは、こういった理由からきいているようですね。ただ、現代の関東に代々続いている関東人というのは少ないので、みんなが武家の性質を受け継いでいるわけではないでしょう。いろいろな地域の人が集まる関東では、多少なりとも相手を警戒して無口になっているところもあるのかもしれませんよね。

どちらもルーツをたどれば納得できますよね。もちろんみんながそうとは限りませんが、こういう性格の人が多いと理解できれば、付き合い方もおのずと見えてきますよね。