知らない人でも友達の関西人、知らない人は敵の関東人

関西人は、よく知らない人とでも話します。「電車の中で隣になった」「すれ違いざま」「駅で電車を待っているとき」など、目が合っただけで話しはじめるのは珍しいことではありません。目が合わなくても話しかけに行く人は多いですが。特におばちゃん族。

なぜ関西の人は、誰かれかまわず話しかけるのでしょうか。理由は簡単、「そこに人がいるから」です。関西の人(特におばちゃん族)は、相手が人でなくても話しかけます。ペットや動物はもちろんのこと、物にでも普通に話しかけます。しかも会話が成り立って(?)いるのである意味すごい能力だと私は思っています。尊敬に値しますよ。

例えば、我が家の母親は冷凍庫を開けたときに落ちてきた、冷凍の肉に話しかけます。「なんであんたは落ちてきたんや?ここにおらなアカンやろ」と。そして会話は続きます。「なんやて?そうなんや、うんうんわかった、ほなそうするわ」と。聞いてみたところ、冷凍のお肉が「いつまでも冷たいとこに入れられてしんどなってきた、そろそろ食べてもらわれへんやろか」と、訴えてきたそうです。母親曰く「そりゃそうやわなー、長いこと冷凍されてたらいい加減しんどなるわなー、お肉の言うとおりや。せやし今日は焼肉やで」と。

お肉がしゃべったかどうかは定かではないが(そんなわけないでしょ・・)、関西のおばちゃんはお肉とさえ会話ができるんだな、と思いましたね。いや、「思いました」というのではなく、「そう思うことにした」と言ったほうが正しいのかもしれません。この場で冷静に「お肉がしゃべるわけない!」と、突っかかるのは邪道だということは理解していたようです。「お肉も長いことご苦労さんやったなー、せっかくやで美味しく食べたらなアカンなー」と、話を合わせることも忘れませんでしたよ。私、大人ですね。

逆に関東で知らない人にいきなり話しかけるとどうなるでしょうか。どんな人かにもよりますが、たいていは相手をせずに逃げるのではないでしょうか。道を尋ねたり、駅の乗り換えなどなら相手をしてくれるでしょうが、関西のように初対面にも関わらず「お姉ちゃん」と呼ばれたらちょっとコワイかもしれませんよね。

関東の人が「知らない人は敵と思え」と言っていたことがあります。どうしてそう思うのか不思議でしたが、何か嫌な思いをしたのかもしれませんよね。その人は、純粋な関東の人ではなく、大分から上京してきた人でした。その人の性格だったのかもしれませんが、「とにかくまずは疑ってかかる」のを信条にしていました。聞いてみると、女性にも男性にも何度も騙されたようで「関東はそういうところだ」と思い込んでいましたね。確かにそういうズルい人もいるかもしれませんが、みんながみんなってわけじゃないですよね。純粋だったがゆえに騙されたのかもしれません。

関東の人が「知らない人は敵と思え」と思っているのは、あまりにも人口密集が高く、いろんな人が集まってきている地域だからではないでしょうか。これだけの人数がいると、中にずるがしこい輩もいるでしょう。警戒しなければ自分が痛い目に遭うということになってしまうのかもしれませんよね。だからといって知らない人をまずは疑ってかかるのもなんだか世知辛い世の中のような気がします。だけど、知らない人を信じるのもやっぱりよろしくないし・・・うーん、なんだかもどかしいです。